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春から秋の暖かい季節は、野鳥や昆虫、動植物などの自然と気軽に触れ合える季節です。その反面、
毒を持つ、あるいは咬みつくなど多少注意を要する生きものたちの活動も活発な時期でもあります。
それらの生きもの中で、野外で出合う機会が多い生きものと、その対処方法などを紹介します。
自然に対するマナーを守り、生きものたちへの配慮も忘れずに、できるだけ敵対することなく、より
安全に楽しく活動したいですね。
内容 |
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●ムカデの仲間 ●スズメバチの仲間 ●ガの仲間 ●ヘビの仲間 ●ハゼノキの仲間 ★これらの生きものの昔からの活用方法 ★お願い |
朽木や落ち葉の下などにすみ、主に夜活動して昆虫などを食べます。毒牙を持ち、人が触れると身を守る為に咬みつくことがあります。咬まれると激痛があり、赤く腫れ、痛みが1週間以上続く場合や、発熱する場合もありますが、命に関わる事はありません。 |
トビズムカデ トビズムカデ トビズムカデがヤマミミズを捕食 |
スズメバチの仲間には、攻撃的なものもおり、特にオオスズメバチは、毒が強く攻撃性も最も強いため恐れられています。また、スズメバチの事故で最も被害が多いのは、キイロスズメバチです。 |
オオスズメバチ スズメバチの仲間 スズメバチの仲間の巣 |
全てのガの仲間が有毒のようなイメージがあるかもしれませんが、毒を持つものはごく一部です。しかし、見た目の毒々しさと毒を持つか持たないかはあまり関係がないので、見た目だけで判断するのは危険です。種類によって姿が違うので、有毒なものは特徴を覚えておくことが大切です。イラガの仲間(例えばイラガ・アオイラガ)やカレハガの仲間(例えばマツカレハ・タケカレハ)などは幼虫の時に、ドクガの仲間(例えばチャドクガ・モンシロドクガ)は一生を通して毒毛や毒棘を持っています。 |
イラガの幼虫 タケカレハの幼虫 ドクガの幼虫 |
マムシとヤマカガシについて紹介します。 保護色をしている為、野外では気付きにくいので、ヘビが出そうな草地・やぶ林の中などを歩く際には、「長靴を履く・歩く前に棒などでヘビがいないか確認する」などの対策が必要です。また、岩の間や倒木の陰に潜む場合も多く、その中にむやみに手を突っ込むのは危険です。見かけても「不用意に近づく・踏む・つかむ」などをしなければ、まず攻撃されません。 ・マムシ ・ヤマカガシ |
マムシ マムシ ヤマカガシ |
山野に生える落葉樹です。枝先に集まった、細長い卵型のような葉が特徴で、秋になると紅葉します。ウルシオールを含み、全ての人が必ずかぶれるわけではありませんが、樹液に触れたり、時には雨の日に下を通ったりすると皮膚炎を起こすことがあります。皮膚が弱い方は、近くを通っただけでかぶれることもあります。帽子・長袖シャツ・手袋などを着用して肌の露出を避け、近づかないようにして下さい。 かぶれた際の応急処置は、患部を水洗いし、抗ヒスタミン剤含有のステロイド軟膏(注意1)を塗り、冷水や濡れタオルなどで冷やして下さい。ハゼノキの仲間に触れた手や、患部に触れた手で他の場所を触ると、かぶれが広がるので注意が必要です。かぶれがひどい場合は、かぶれた原因を確認し、皮膚科で治療を受けて下さい。 |
ハゼノキ ヤマウルシ ヌルデ |
注意1) 抗ヒスタミン剤やステロイドを使用する場合には、アレルギーが発生する可能性について確認し、十分注意して 下さい。 注意2)今回の応急処置の中では紹介していませんが、ヘビやハチなどの毒を傷口から吸出す道具として、ポイズン・ リムーバ(毒成分吸引器)という道具があります。注射器のようなもので、毒を吸出す仕組みになっていて、患部 の大きさによって吸出し口を変えることができます。 |
◆ムカデの仲間
小さな生きものを捕食するので、害虫を食べる益虫とされている他、ムカデを漬け込んだサラダ油などは、火傷や怪我などに塗る薬として利用されています。 |
◆スズメバチの仲間
滋養強壮などの効果があるとして、幼虫は珍味として食べられ、成虫は焼酎などに漬け込んで利用されています。 |
◆ガの仲間のイラガ イラガの繭は、スズメノショウベンタゴ・スズメノテッポウなどと呼ばれて親しまれている他、玉虫という呼び名で、繭の中の幼虫が釣り餌に利用されています。 |
◆ヘビの仲間のマムシ 滋養強壮などの効果があるとして、焼酎になどに漬け込んで利用される他、高級食材やスタミナ食品として食べられています。 |
◆ハゼノキの仲間 ・ハゼノキ ・ウルシ ・ヌルデ |
★お願い
私たちが、今までの観察会等で得た経験と文献から、注意を要する生きものに関して、まとめました。
この他に「こういった生きものに注意した方がいいよ」あるいは「こういった経験をしました」など、今後の
自然観察会や探鳥会において、参考になる情報や写真をお持ちでしたら、御一報頂ければ参考にしたいと思います。
これらの情報は、安全に自然と親しんで頂くために、ナイス福岡の会員が協力して作成しました。他の目的による転用はご遠慮下さい。 また、特に写真は提供者が知的情報財産権を有しますので、二次利用の場合はナイス福岡を通じて所有者への許可が不可欠となります。 |
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